ドボ博 座談会 パート14

渋谷と谷状のまちの構造

zadankai
「東京インフラ解剖」といきなり言われても、何の事だかよくわからない。そんな方にも、東京インフラを見る「とっかかり」を作ってもらうため、独自のこだわりをもつ専門家による、マニアックな座談会を行いました。壁マニア、地形マニア、橋マニア、鉄道マニア・・・。これを読めば、きっとあなたなりの東京インフラの見方が見つかるはずです。


パート14 “渋谷と谷状のまちの構造”

北河さん

では、次にまだ座談会で話題になっていない渋谷について。渋谷の魅力といえば?

東京インフラ075 渋谷

(渋谷に詳しい)田村さん

渋谷は、現在までの時間の堆積が地層のように現れていて、それが今見えている風景を作っているのが面白いですね。

(土木マニアの)八馬さん

時間っていうのは、火山による堆積物を川が削り取ったというような、ジオスケールの話ですか?それとも土地利用の変遷といった、人がつくったまちのことですか?

(渋谷に詳しい)田村さん

地形とまちが、渾然一体となっている感じでしょうか。谷地形と微地形を読み込んで、人の流れができ、建物がたち、街の形ができ、そして、逆にまちが建物を生み、人の流れを作り、新たな地形を作るようなプロセスが跡を残しながら、地形とまちと人のいとなみの経緯が見える。特に自分は、渋谷駅ができた1885年からのその場所のいとなみに興味を持っています。

中央やや下の谷地が渋谷駅、上方グリッドが新宿副都心(提供:アジア航測株式会社)

(鉄道に詳しい)小野田さん

渋谷は、駅を降りて坂を上がる時に、登る坂を間違えるととんでもない方向に行っちゃうんだけど。坂から帰るときは、とにかく坂を低い方向へ歩いていけば、酔っ払っていても自然に駅にたどり着く。わりと単純な構造で、スリバチみたいになっているので、出発点となる駅が谷に集中していて、そこに立体的な駅ができたわけですね。

(土木マニアの)八馬さん

地形とまちの関係がポイントなわけですね。

(鉄道に詳しい)小野田さん

それが渋谷らしさですよね。

(渋谷に詳しい)田村さん

その渋谷駅の変化のうつろいを視覚化したいと思い、変化の断面を模型にして時系列に並べ、表現してきました。一番最初のとっかかりは、なんでこんなに迷ってしまう近代施設(駅)が生まれたのかな、ってところから始まったんですけどね。

(鉄道に詳しい)小野田さん

駅が一箇所に立体的に集中しているので、平面的な新宿駅や池袋駅に比べると、乗り換えは最小の移動距離で済むはず。けれども、縦移動をしなければ乗り換えができないので、これが駅をわかりにくくしている、という面はありますね、渋谷は。

北河さん

今は工事中なので、特に駅エリアの移動がわかりにくいですよね。まあ、これからまちがどう変貌するのか、それに期待しましょう。

(スリバチ学会の)皆川さん

渋谷との関連でいうと、駅周辺がスリバチ状になっているのは、都内だと大塚と大井町もそうですね。

大村さん

大井町ってスリバチですか。京浜東北線の下、海側は、結構坂になってますよね。

内田さん

仙台坂ですね。

(スリバチ学会の)皆川さん

海側は下がるけど、反対側は立会川があって、谷になってます。

北河さん

スリバチっていう印象はありませんでした。

(スリバチ学会の)皆川さん

実は谷状のまちの構造は、渋谷とも似ていて、Y字(の交差点)が多いんですね。新宿とか池袋って、東西南北のグリット形式ですけど。Y字が多くて、谷の底に駅があるという形。

内田さん

(地図をみながら)確かに、立会川が沿って流れているし、Y字も多そうですね。まちのかたちに地形の特色がでていておもしろいですね

 

【次回へつづく】

 


座談会アフタートーク

■渋谷の再開発について

渋谷は現在大規模な再開発が行われています。将来の渋谷がどのように変化していくのか、現在はどのような工事が行われているのか、東急電鉄の渋谷再開発情報サイトSHIBUYA FUTURE(渋谷駅街区土地区画整理事業のサイト)から見ることができます。

http://www.tokyu.co.jp/shibuya-redevelopment/index.html
http://re-shibuya.jp/

 

■立体的Y字路をさがす!?

今回話題になった、Y字路についてですが、大山顕氏による「理想的な立体Y字路をさがして」というブログがとても面白いです。まちあるきの楽しみ方として、「谷状のまち」で「Y字路」を探すというのもおもしろそうですね。

http://portal.nifty.com/kiji/160826197281_1.htm

 

 


Back To Top