四国インフラ079 坂出港

海路と陸路の結節点


坂出市は、塩田業で江戸時代から栄えてきた都市である。当時、塩は貴重な資源であり、坂出から各地へと塩が送り出されていった。この塩の積出港として、坂出港は始まった。入江に立地された坂出港には和船も頻繁に往来し、備讃瀬戸における重要な港湾として中国・阪神・九州さらに北海道方面との交易にも利用されるようになっていった。

このように、香川県において海上交通の要所でもあった坂出港では、近代化とともに明治33(1900)年には港湾実態調査が行われ、大正5(1916)年より5箇年計画をもって、まず内港運河の浚渫工事に着手。その後、昭和3(1928)年より東アジア圏内の貿易拡大を目標として、埋め立てを伴う本格的な第1期改修工事、昭和12(1937)年には第2期改修工事に着手し、近代的港湾の基礎が築かれていった。この頃に建てられた旧坂出港務所が、今も坂出港に残っている。昭和9(1934)年に建てられた坂出港務所は、1階は大阪商船の乗降場や切符売場として、昭和31(1956)年頃まで利用されていたらしい。その後、海上保安署として15年間使用された後、市施設や事務所としても利用されてきたが、現在は閉鎖されている。潮風に晒され老朽化は進んでいるが、戦前の港務所として香川県内に残る唯一の建築物で、塔屋上部のドームやメダリオン、付柱など、古典様式の装飾がおもしろい。

坂出港は昭和23(1948)年に開港の指定を受け、昭和26(1951)年には重要港湾に格付けされた。また、昭和30年代には坂出市は塩田業から工業都市へと転換を図り、塩田跡地に多くの工場が誘致されていった。これに伴い、坂出港の拡充が求められ、現在の港湾の姿へと変化していった。昭和63(1988)年4月に完成した瀬戸大橋も坂出港に隣接している。そのため、海路と陸路の結節点としての機能も備えていった。

坂出港は、これからも四国の物流拠点のひとつ、そして海路と陸路の結節点として、瀬戸大橋とともに四国を支えていくだろう。(尾野)

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種別 港湾
所在地 香川県坂出市

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