東京インフラ044 かつしかハープ橋

美しさと新しい構造の両立


現在は荒川に分断されているが、利根川東遷事業以前は利根川と荒川の本流だった中川。その中川に流れ込む綾瀬川の左岸から荒川と中川の背割堤に渡り、優美なS字の曲線を描く美しい橋。夜にはライトアップされた親子のタワーと道路照明が水面に映り、幻想的な風景を創り出す。
その美しさは、新しい構造への挑戦と丁寧なデザインによって生み出されたものだ。橋の特徴でもあるS字カーブは中川の上平井水門を避けるためであるが、それを実現できる構造として構想されたのが、当時まだ世界に例のなかった曲線の斜張橋だった。一般的に曲線の橋には、直線の橋と比べ、「ねじり」と呼ばれる雑巾を絞る時のような力と、安全に走行するための大きな路面勾配という不利点がある。しかも曲線が反転するS字カーブのため、難しさは倍増する。それを解決するアイディアの一つが、橋の名前の由来にもなった、タワーに対し点対称に配置された48本のケーブルである。
数々の難題を解きながら、見事に美しい形にまとめ上げたのは、新豊橋でも登場した大日本コンサルタント株式会社と、多くの橋梁デザインを手がけてきたM+Mデザインの大野美代子氏である。1986年度土木学会田中賞受賞。美しさと新しい構造の両立、まさに田中賞を象徴する橋である。(二井)

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種別道路橋
所在地東京都葛飾区
構造形式鋼製 S字形曲線斜張橋
規模橋長455m 最大支間220m 主塔高(桁から)親塔65m、子塔29m
竣工年1987年
管理者首都高速道路株式会社
設計者大日本コンサルタント(株) (株)M+Mデザイン
備考1986年度土木学会田中賞受賞

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