東京インフラ057 多摩ニュータウン

高度成長期の夢が託された理想都市


「近未来SF映画のセットの街に、サイボーグが住んでいる━そんな妄想を描く。・・・本当にこの街自体、ちょっと目を離した隙に、多摩の山中にポッカリと出現した、といった雰囲気である。手塚治虫の「鉄腕アトム」の初期に、奥多摩山中に円盤が着陸して、人間そっくりだが耳だけがデカイ宇宙人がやってくる━というような話があったが、ふとそれを想い出した。」(泉麻人)

多摩丘陵につくられた、わが国最大のニュータウンには、鳥取県の人口の約40%に相当する22万4千人(2015年現在)の人が暮らしている。尾根筋・谷筋をいかした土地の造成、歩行者と自動車の交通の分離、豊かな緑に彩られた住環境、中学校の学区を基本とした近隣住区理論に基づく住区の設定など、郊外での宅地の乱開発を防ぐため、高度成長期に描かれた理想都市の姿を垣間見ることができる。地形図を見れば、細かいひだ状の起伏をもつ丘陵が、広大な市街地を包み隠すように取り囲んでおり、確かに「多摩の山中にポッカリを出現した」感じもしないではない。


 

多摩ニュータウンは、大量の<細胞>の健全な生育環境をはぐくみ、都心の<臓器>に供給するという、東京の<新陳代謝>を図る役割を果たしてきた。しかし、住民の高齢化が進み、建物やインフラの経年劣化も進む中で、この巨大な村の<代謝機能>の維持も課題になりつつある。(北河)

 

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引用
泉麻人:大東京バス案内、講談社文庫、2001.

種別ニュータウン
所在地東京都稲城市・多摩市・八王子市・町田市
規模面積2884ha
竣工年1971年分譲開始

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