東京インフラ043 三河島汚水処分場

日本最古の<腎臓>


日本で最初につくられた下水処分場。上水道から優先的に整備された明治東京の近代衛生施設は、この下水処分場の竣工によって一通り完成した。<循環器系>(水道)だけでなく、<泌尿器系>(下水道)の要となる<腎臓>も整えられたわけである。

「三河島汚水処分場として、帝都参観の人士の必ずや一度の訪問を受ける施設は、・・・東洋第一のものであ(る)。」(今和次郎)

設計を担当した米元晋一は、かつて日本橋で試そうとして実現できなかった鉄筋コンクリート構造を駆使して、この近代東京の<腎臓>を完成させた。市街地に埋設された管渠<腎動脈>を流下した下水が、この施設を通過すると、きれいな水になって出てくる。巨大な鉄扉やアーチ形の導水渠、浮遊物を除去する機械装置や大型ポンプを収容した大規模建築など。日本で全く新しいこの施設は、今和次郎によると、東京に来る者が一度は訪れる昭和初期の人気スポットだったらしい。

ここでは、下水に含まれる有機物を、バクテリアなどによって分解して水を浄化し、隅田川に放流していた。つまり、細菌レベルの生態系を人工的につくりだし、菌の力で健全な<腎臓>の機能を維持していたわけである。

近年の下水処分場では、下水汚泥からリンを効率的に回収する技術の開発や、下水のもつ熱エネルギーの活用も検討されている。汚から浄への直線的流れの合理化をひたすら追求した近代の発想から、汚泥の資源化つまり循環型システム構築への関心の広がりへ。近代化の過程で希薄になった自然と人間の相互関係の再構築に、現代技術でアプローチしようとしている(北河)

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引用
今和次郎:新版大東京案内、中央公論社、1929.

種別 下水処理場
所在地 東京都荒川区
構造形式 鉄筋コンクリート造
規模 敷地面積197878㎡
竣工年 1922年
管理者 東京都
設計者 東京市
備考 重要文化財
文化遺産オンライン

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