東京インフラ020 首都高

空中の<大動脈>


世界の大都市の多くは、地上と地下の2層の交通ネットワークをもっている。地上は道路と鉄道、地下は地下鉄である。東京が独特なのは、これらに加え、空中、つまり首都高を加えた3層構造になっている点だと思う。これら地上、地下、空中の3つの<大動脈>が、それぞれ独立したネットワークをもち、都市を縦横無尽にかけめぐる。そこには、地図を見るだけではわからない、刺激的な都市空間が待ち受けている。

首都高は、高度経済成長期の東京の完全に<鬱血>した都心部につくられた、<バイパス血管>のようなものである。渋滞の激しい都心の交差点を立体化し、それを環状、放射状に繋げてネットワークにしたといわれている。計画の最終決定は1959年。東京オリンピック開催の5年前である。完成が急がれる中、焦土から蘇りつつあった商業地や住宅地を用地買収してつくるのではなく、できるだけ道路や運河や河川などの公共用地を活かして、工期と費用の縮減を図る選択肢がとられた。こうして、もともと車で2時間かかっていた羽田空港・代々木オリンピック会場間の移動が、新たな「オリンピック道路」の完成によって、約30分に短縮されたという。

今や、約97万台の車が日々首都高を<循環>している。そして、「連続する立体交差」と地上のネットワークの行き来を、平均すると約1.8kmに1つずつ配された密な出入口で確保している。

新幹線、高速道路、首都高は、戦後占領下の束縛から解放された日本が切り開いた、インフラの新たな地平であった。建設当時の写真は、その地平をどこまでも拡張しようと、都市改造にまい進した時代の熱狂を、今によく伝えている。(北河)
 

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種別高速道路
所在地荒川区・練馬区を除く東京都区部 神奈川県横浜市・川崎市 埼玉県さいたま市・戸田市・和光市・川口市・三郷市・八潮市 千葉県浦安市・市川市
規模延長310.7km
竣工年1962年開通
管理者首都高速道路株式会社

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