東京インフラ049 玉川上水

江戸テクノロジーの風景


武蔵野台地を横断する歴史的な水道・農業用水施設。このインフラによって、巨大化する江戸・東京の水不足が解消され、江戸に至るまでの台地も、それまでの井戸や崖線湧水の点群から水の線、つまり<循環器系>のネットワークで潤うことになった。

流路は、多摩川上流の羽村から四ツ谷まで、延々43kmを自然流下する。これは、武蔵野台地の尾根筋を巧みに貫いている。また、もろもろの水系の分水界にもなっており、地形とインフラの密接な関係を浮きぼりにしている。

「関東ローム層丘陵上を蜿々と流して流速をととのえてきた。・・・この精巧な技術が、無名の農民の兄弟の手で成ったということは、考えさせられることが多い。どこからこんな技術を学び、どんな測量器を使ったかは、ぜんぜん今日不明である。ただ無名の大衆のなかに埋没し、継承されていた日本の伝統の技術が、われわれの想像をこえて優秀であったことだけはいえるのである。」(松本清張、樋口清之)

雑木林に囲まれた玉川上水の素朴な姿は、国木田独歩、山本有三、太宰治など多くの作家を魅了した。しかし、それは単なる文学の風景でなかった。魅惑的で、少しミステリアスなテクノロジーの風景でもあったのである。(北河)

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引用
松本清張、樋口清之:東京の旅、光文社文庫、1985.

種別上水道
所在地東京都新宿区・渋谷区・世田谷区・杉並区・三鷹市・西東京市・武蔵野市・小金井市・小平市・立川市・昭島市・福生市・羽村市
構造形式土構造 水路
規模延長43km
竣工年1653年
備考史跡
技術解説文化遺産オンライン

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